化合物半導体電子デバイス結晶成長・プロセス技術

化合物半導体デバイス研究グループ

どんな技術?

光通信の高速・大容量化に向けては、送受信器に用いられる集積回路や光電変換を行う受光器の高速化が必要です。このような要求を満たすため、本研究グループでは、InP系化合物半導体を用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)やアバランシェフォトダイオード(APD)といったデバイスの高性能化を進めています。また、高信頼な光通信用電子デバイスの研究開発で培った技術を活かして、サブミリ波帯・テラヘルツ帯応用に向けたInP系高電子移動度トランジスタ(HEMT)の広帯域化や、高出力デバイス応用に向けたGaN系材料の研究など、光通信にとらわれない様々な応用を見据えた化合物半導体電子デバイスの研究開発を進めています。

なにが特長?

InP系材料やGaN系材料は一般的な半導体材料であるシリコンと比較して高い電子移動度や高い飽和電子速度、高い絶縁破壊電界といった優れた特長を有しています。そのため、これら化合物半導体を用いた電子デバイスでは、シリコン系電子デバイスでは到達し得ない、高速スイッチングや低消費電力、高出力動作が期待できます。

本研究グループは、上記の化合物半導体材料の結晶成長からクリーンルーム内でのデバイス作製、電気的特性評価に至るまで一貫して行える環境を有しています。さらにNTT研究所内に保有する回路設計技術や実装技術と組み合わせることで、化合物半導体電子デバイスに関する包括的な研究開発を進めています。

このような強みを活かすことで、例えば0.2µmエミッタ幅を有するHBTにおいては、電流利得遮断周波数、最大発振周波数がいずれも500GHzを上回る高い性能が得られています。また、APDにおいては、高速性・高感度性の指標である増倍感度-帯域積において、世界最高値となる168GHz・A/Wを達成するなど、世界トップレベルの化合物半導体デバイスを実現しています。

なにができる?

100G超の大容量光通信、サブミリ波帯・テラヘルツ帯を用いた超大容量無線通信やイメージングセンサ、GaN系デバイスを用いた超低損失電力変換器など、化合物半導体材料の強みを活かすことで、次世代の高速・大容量な通信技術にとらわれない幅広い領域で、革新的な技術を創出することを目指して研究開発を進めています。

図1 解説図
図1 解説図

略称

HBT Heterojunction Bipolar Transistor (ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)
APD Avalanche Photo Diode (アバランシェフォトダイオード)
HEMT High mobility Electron Transistor (高電子移動度トランジスタ)

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