世界最小エネルギーで動作する電流注入フォトニック結晶レーザ情報通信機器を大幅に省電力化します

ナノ構造集積機能デバイス研究グループ

背景・従来課題

近年、FTTHなどのブロードバンドサービスやスマートフォンの爆発的普及に伴い、情報処理量が急激に増大しています。また、今後、クラウド技術の進展やスーパーコンピュータの登場により、コンピュータの計算速度とデータの処理量が飛躍的に高まるにつれて、消費電力も大きく膨らむことが想定されます。NTT研究所では、これらIT機器の消費電力と発熱の問題を抜本的に解決するため、IT機器を構成する部材の中で最も電力消費が大きいマイクロプロセッサの消費電力低減に着目し、データ通信に光配線技術を適用する研究を続けています。そのためには、小型かつ低消費エネルギーで動作する光半導体レーザの実現が重要な課題となります。

概要

NTT先端集積デバイス研究所では、ナノフォトニクス技術により電流注入フォトニック結晶レーザを実現し、世界で最も小さいエネルギーで光信号の送信に成功しました。現在、サーバやルータなどの情報通信機器は消費電力の多くをデータ通信により消費しており、装置内の電気通信を光通信に置き換えることで大幅な省電力化が期待されます。本成果は、CPU内やCPU間でデータ送信を行う超小型の光送信器に適用できる技術です。

特徴

  • 光を微小領域に閉じ込めるフォトニック結晶技術、半導体微細構造の製造技術により超小型レーザを実現
  • 半導体レーザで最小の発振閾値電流4.8μA
  • 従来比1/10の世界最小エネルギーで光信号を送信 (10Gbit/sの信号を1bitあたり5.5fJ*で送信) *fJ:フェムトジュール
  • レーザと光受信器を1チップ上に集積し、光送受信に成功

利用シーン

  • ルータ、サーバなどの情報通信機器内のCPU内・CPU間通信用光送信器
  • 大規模光集積回路
利用シーン

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