光パラメトリック増幅デバイス光で光をあやつり、通信距離・計算速度の限界をこえます

異種材料融合デバイス研究グループ

背景・従来課題

近年ブロードバンドサービスやスマートフォンの爆発的普及に伴い、情報処理量が急激に増大しています。今後、ビッグデータ等を積極的に活用した高度ICT社会を支える超大容量ネットワークを実現するためには、現在光通信方式の主流になっているデジタルコヒーレント通信技術の潜在能力を最大限引き出すことが重要な課題となります。

概要

光通信システムに用いられる従来の光増幅器では、増幅に伴う雑音の混入が原理的に避けられないため、雑音によって光信号品質が劣化してしまう問題がありました。このような従来型光増幅器の原理的限界を打破し、光伝送路の中継距離を大幅に伸ばすことが可能な低雑音光信号増幅技術を紹介します。

NTT先端集積デバイス研究所では、培ってきたデバイス作製・モジュール実装技術を融合し高品質な光パラメトリック増幅器を実現しています。非線形分極を介してエネルギーを移行する新しい増幅器は、光通信システムでの超低雑音光中継だけでなく、組合せ最適化問題の高速解探索を実現するコヒーレントイジングマシンのキーデバイスとして用いられています。

特徴

  • 非線形光学素子として周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN: Periodically Poled Lithium Niobate)導波路素子を用いることで、コンパクトで実用性の高い低雑音光増幅器を構成(特徴1)
  • 光非線形効果の一種である光パラメトリック増幅を用いた位相感応増幅により、原理的に信号対雑音比の劣化のない(雑音指数:0dB)低雑音光増幅が可能(特徴2)
  • 将来の大容量光通信のほか、量子情報処理などの多分野でのキーデバイスとしても期待

利用シーン

  • 主要都市間を結ぶ将来の1Tbit/s超フォトニックトランスポートシステムにおける超低雑音光中継増幅器
  • コヒーレントイジングマシンにおける擬似光スピン生成
利用シーン

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