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ニューラルネットワークの圧縮では重みを削除する「枝刈り」や量子化が一般的ですが、強い宝くじ仮説(SLTH)は、訓練前のランダムな初期化から「当たりくじ」を探し出すという発想で注目を集めました。重みそのものではなく、どの接続を使うかを示すマスク(スーパーマスク)を学習することで、推論時には「乱数シード+マスク」だけで高精度ネットを再現できます。私たちの研究「三原色強い宝くじ仮説(T-SLTH)」はこのSLTHを一般化した新しい理論です。重みの接続(C)・符号(S)・スケーリング(M)の3要素を分離し、それぞれを最適化する「三原色スーパーマスク」を提案しました。これにより、従来の疎な構造だけでなく、密結合やランダム(任意)接続にも対応できる初のSLTH系手法を実現しました。


T-SLTHは、枝刈り·量子化·ランダム性の3軸を統合する理論基盤です。今後は、異種ハードウェア(光学・アナログ・量子)への適用や、構造的事前知識を持つ新しい圧縮学習への展開を目指します。将来的には、モデル構造自体がハードウェア特性と共進化する「アルゴリズム-ハードウェア共設計」へとつなげていきます。
ロペス アンヘル (Ángel López García-Arias)
コミュニケーション科学基礎研究所 メディア情報研究部 メディア認識研究グループ