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(1)目的に合わせて最適な照明光スペクトルを設計します。
(a) 特定の色のみの彩度や色度を変化させる
例:赤色の彩度のみ変化させ、白色や青色、緑色の見えは変えない
(b) 対象とする色同士の見えの違いを強調する
(2) 設計した照明光スペクトルを実現するとともに、可能な限り少ないパラメータで目標の色の見えの変化の具合を調整します。
(a) 複数の単色LEDの組み合わせで照明光スペクトルを合成する
(b) 目的の色のみの彩度/色相を連続的に調整可能とする
従来、例えば製品の一部の色を変えたバリエーションを確認するためには、(a) 複数の製品サンプルを作成する、(b) 対象物をカメラで撮影した後に画像編集ソフトを用いて処理した結果を「モニタ上で確認」する、しかありませんでした。前者では試作品の製作コストが発生する、後者では「モニタ上での色の正確な再現」に加え「質感の再現」が困難という課題がありました。
本技術では照明光スペクトルを適切に調整することで、特定の色のみの鮮やかさ(彩度)や色味(色相)の調整が可能です。「モニタ上の画像」ではなく「実際の物体」で色の変化を確認できることが特徴です。
その実現のため「色彩強調スペクトル」を世界で初めて発見しました。色彩強調スペクトルを事前に計算し、基準とする照明光スペクトルに対し、その重みを調整し加算/減算するだけで、特定の色の箇所のみ、その見えの変化を連続的に変化させることが可能となりました。

図1:色彩強調スペクトルの例

図2a:特定色の強調/抑制

図2b:特定色の強調/抑制

図3:文化財で退色した色を強調した例

図4:特定の色のみの見た目を変化
本技術は、2023年9月に開催されたParis Fashion Week 2024 Spring/Summerの公式プログラム掲載のブランド”アンリアレイジ”のステージにて、演出用照明として採用されました。
図5:SIGGRAPH2024におけるデモビデオ(音声あり)
1 試作品での色味調整シミュレーション
2 医療分野での診断支援(血管や患部の強調)
3 経年劣化で退色した文化財の仮想復元
土田 勝(Masaru Tsuchida)
コミュニケーション科学基礎研究所 メディア情報研究部 メディア認識研究グループ