NTTアクセスサービスシステム研究所
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ANSL R&D Times

迅速性、効率性、高信頼性を実現する置局設計技術

災害対策に向けた地上系無線システム開発の取り組み その4

 近年、頻発する大規模な自然災害等により、電気通信設備も多くの被災を受けています。NTTでは、災害時においても通信手段の早期確保を図るため、何時でも出動が可能な災害対策用無線システム(地上系/衛星系)を保有しています。
 図1は、これまで開発に取り組んだ地上系災害対策用無線システムの構成例を示しており、地上系災害対策用無線システムは、図示のとおり3種類のシステムに大別することができます。
 ここでは、①業務用無線システムおよび③加入者系無線システムに対応した置局設計技術開発の取り組みについて紹介します。


図1 地上系災害対策用無線システムの構成例

背景

 第91号および同号でご紹介していますように、3種の地上系災害対策用無線システムの開発に取り組んできました。業務用無線システム(第91号参照)は音声通信や無線機の位置把握を主目的としたシステムですが、NTTビル間の有線網が被災した場合のバックアップ回線としても利用できるように、NTTビル間で無線のメッシュネットワークを構築してルート選択/形成をダイナミックに行い、マルチホップ中継によるデータ通信を実現できます。また、加入者系無線システム(同号参照)は1基地局で複数の端末局を収容するP-MP通信に対応し、複数の避難所が設置された場合にそれらを同時に収容可能なNTTビルに1台の基地局を設置するだけで迅速に特設公衆電話等の提供が可能となります。
 このように装置の高度化が進む一方で、バックアップ回線を効率よく構築するにはどのNTTビルに無線基地局を設置するか、P-MP通信時にどのNTTビルに基地局を設置することが最適なのかを決める置局設計技術が必要となります。
概要

 業務用無線システムを用いたメッシュネットワークによるバックアップ回線では、通信の災害に対する耐性(ロバスト性)を考慮しながら効率的な無線局配置を実現します。

 加入者系無線システムでは、災害に備えて常設する基地局を互いに冗長となることを考慮した基地局配置を実現します。また、端末局が高密度に存在する環境への対応として、同じチャネルをできるだけ近くで繰り返して使えるように相互の干渉量を低減することを考慮した基地局配置を実現します。

 3種の置局設計技術をそろえることで、基地局間通信、基地局-端末局間通信、多数の無線局が高密度に存在する環境等の様々なケースでの無線局配置検討に対応可能となります。

今後の予定
 地上系災害対策用無線システムを対象とした置局設計技術の検討を進めてきましたが、置局設計技術自体はシステムに依存するものではありませんので、汎用性を持たせた形態でソフトウェア化する予定です。
担当者
無線エントランスプロジェクト レジリエント無線グループ
中村 宏之(グループリーダ)
徳安 朋浩(主任研究員)
布 房夫(主任研究員)
品川 晃祥(研究員)
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1.メッシュネットワークにおけるロバスト性を考慮した置局設計法