
2.構築した高周波数帯伝搬損失モデルの概要
次世代無線アクセスシステムの適用先として携帯電話や無線LAN等の利用シーンで重要な都市部環境と住宅地環境に着目し、伝搬測定やシミュレーションを通して電波伝搬現象の解明を進めました。その結果、目に見えない電波伝搬現象から支配的な伝搬経路を抽出することで、これまで6GHz以下でしか解明されていない広範囲にわたる伝搬損失特性を新たに高周波数帯で明らかにし、様々な環境での高周波数帯伝搬損失モデルを確立しました。
具体的には、都市部環境においては送信機(Tx)と受信機(Rx)の間に見通しのある見通し領域、ビル遮蔽のある見通し外領域、これらの切り替わるコーナー領域の3つの領域における伝搬経路について、それぞれ伝搬損失特性を抽出することで伝搬損失モデルを確立しました。
また、住宅地環境においてはTxとRxの間において、道路に沿って伝搬する道路沿い伝搬経路、建物の間を伝搬する建物間伝搬経路、建物の上を伝搬する屋根超え伝搬経路の3つの伝搬経路を抽出することで伝搬損失モデルを確立しました。
このように、無線アクセスにおける伝搬特性について、これらの支配的な伝搬経路を用いることで、簡単なパラメータから広範囲にわたる伝搬損失を高精度に計算できる伝搬損失モデルを世界に先駆けて確立しています。
(a)都市部 (b)住宅地
図2 都市部・住宅地環境での伝搬損失モデル
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![]() 3.確立した伝搬損失モデルの計算例 |