
2.開発装置の特徴
図4 衛星ルートへの適用例
(1) 装置モード
SYS-Uは、衛星回線を終端して接続する「SYS-Uモード」と、海底光回線で発生する音声エコーを除去するエコーキャンセラ機能を提供する「ECモード」の2つの装置モードを具備しています。エコーキャンセラは、装置当り最大200回線弱の音声回線のエコーを同時に除去する性能を有し、無音時の誤切断防止機能などに加えて回線種別ごとに最適化された音声検出アルゴリズムにより高品質なエコー除去を可能としています。
(2) 衛星通信モデムインタフェース
静止衛星軌道の24時間周期変動により発生するドップラーシフトの影響を吸収するためのバッファを具備することにより、通信品質を確保しつつ現行のモデム装置や現在開発中の次期モデム装置であるCOM-Uとも接続することが可能です。現行モデムからCOM-Uへのマイグレーション時には、SYS-Uの衛星通信モデムの接続モードを現在使用している衛星モデム対応の「レガシーモード」からCOM-U対応の「COM-Uモード」に切り替えることにより、同一物理インタフェースで回線容量が約1.4倍に増加します。
(3) SDHフレームオーバヘッド伝送
SYS-Uの地上回線側は155.522 Mbit/sのSTM-1インタフェースでSDH(Synchronous Digital Hierarchy)フレームにより通信しますが、衛星回線側は最大でも23 Mbit/s強のRS-422インタフェースで衛星回線フレームにより通信するため、回線速度のギャップを考慮してSDHフレームを伝送する仕組みが必要です。そこで、SYS-UはSDHフレームのオーバヘッドを終端し、離島と本土局間で監視制御、回線切替等に必要な最小限のオーバヘッドだけを衛星回線で伝送し、受信側でSDHフレームを再生、SYS-U配下の伝送交換装置間でセクション切替を実現します。
また、本土と離島間で衛星回線の遅延の影響により回線切替に影響が出ないように、切替応答の代理応答機能等を具備し、遅延による影響を最小限に抑えます。
(4) 警報監視制御
SYS-U開発では業務の効率化や技術者の減耗への対応が重要と考え、衛星通信関連の運用業務から必要な監視制御機能を洗い出し、監視制御装置と通信装置に地上系装置同様の監視制御機能を実現する開発を進めました。これにより、運用者のスキルフリー化を可能とし、効率的な運用業務を実現します。
また、監視制御装置を構成する警報収集装置が多数存在することから、現状では監視制御装置構成が複雑になっていますが、この複雑な装置構成についてもシンプル化を行いました。
図5 海底光ルートへの適用例
![]() 1.開発コンセプト |
![]() TOP |
![]() 3.エコーキャンセラ技術 |