
1.災害対策衛星通信システム
当プロジェクトでは、災害対策用衛星通信システムとして、「Ku帯超小型衛星通信システム」と「ポータブル衛星通信システム」を開発し、NTT東日本、NTT西日本に導入しています。
衛星通信システムは、地上系インフラが壊滅的な被害を受けた場合でも、赤道上空約36,000キロにある通信衛星を介して、通信を行うことが可能です。
「Ku帯超小型衛星通信システム」は、電話一回線を提供可能なシステムで、平常時から公民館等に設置されている固定型と災害時に避難所へ設置する可搬型があります。デマンドアサイン方式を採用しており、衛星への同時接続数は最大100回線、収容局数は最大1,000局です。
本震災でも、各避難所等の特設公衆電話提供に利用されました。
図1 衛星システムのアンテナ |
図2 避難所で順番を待つ様子 |
「ポータブル衛星通信システム」は、Φ1.2mの大型アンテナの利用と音声通信をVoIP化することで、一可搬局で電話回線最大40回線を提供可能なシステムです。また、インターネットへのアクセスも可能で、災害用ブロードバンド掲示板(Web171)が利用できます。本震災でもNTT東日本およびNTT西日本から合わせて31台の可搬局が出動し、電話276回線とインターネット回線を提供することで避難所等で重要な通信手段となりました。
過去の災害時と比較し本震災の特徴的なこととして、発生直後は電話利用のニーズが強かったのに対し、次第にWeb171の利用やインターネット接続の要望が高くなった点がありました。そこで、急遽、電話用のVoIP回線をインターネット接続に変更する方法等、効率的な回線割当に関する技術支援を行いました。
現在利用されているこれら災害対策用衛星通信システムは、老朽化が激しく、特にアンテナ設置及び衛星の捕捉にスキルを要することから、アンテナを小型化し衛星の自動捕捉が可能な可搬型アンテナの開発を行っています。
図3 可搬局設置の様子 |
図4 車載されているタイプ |
図5 開発中の衛星自動捕捉が |
![]() 東日本大震災におけるワイヤレスシステムの貢献 |
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![]() 2.災害対策用可搬形ディジタル無線機器 |