NTTアクセスサービスシステム研究所
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東日本大震災におけるワイヤレスシステムの貢献

東日本大震災におけるワイヤレスシステムの貢献

東日本大震災における通信の応急復旧手段として、当プロジェクトが開発した無線通信システムが活躍しましたので、その様子をご紹介します。

背景

 2011年3月11日、我が国観測史上最大となるM9.0の「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震およびその後の巨大津波の影響により、 NTTでも通信ビルや中継ケーブルの被災、さらに商用電源の途絶等が発生し、最大で約150万回線の固定系サービスの中断を余儀なくされました。
 NTTグループでは、震災直後から約11,000名の体制で通信設備の復旧に取り組みましたが、前例のないほど広範囲で多くの電柱や通信ケーブルなど所外設備が被害を受けたことから、復旧にはある程度の時間を要すことが必須な状況でした。そこで、迅速な応急復旧手段として、「衛星通信システム」や「地上マイクロ波システム」といった、無線通信システムを活用し、いち早く通信手段の確保に努めました。
概要

 当プロジェクトでは、メタルや光ファイバといった有線設備を敷設することなく通信が可能な無線通信システムの研究開発を行っています。今回震災で活躍した無線通信システムも、当研究所での研究成果です。

 固定電話や携帯電話が全く通じない状況で出動したのが、「Ku帯超小型衛星通信システム」および「ポータブル衛星通信システム」と呼ばれる2つの衛星通信システムでした。これら2つのシステムにより、避難所等で臨時電話を開設し、被災者が家族と安否確認ができる貴重な連絡手段を提供しました。

 次に、有線系の復旧が当面困難な離島等への遠隔地については、中継系光ファイバの代替システムである「11P-150M方式」を設営し、通信を回復させました。今回のような広範囲な被災に対しては光ファイバの復旧に相当な時間を要することから、威力を発揮しました。

今後の予定
災害時に迅速かつ容易に設置可能で、また、ネットワークのIP化にも備えた次期災害対策システムの開発に取り組んでいきます。
担当者
第三推進プロジェクト 衛星通信サービス推進DP
廣瀬 貴史(主幹研究員)

第三推進プロジェクト FWA推進DP
中村 俊男(主任研究員)
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