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ANSL R&D Times

3.開発したケーブル被災判定AP

開発した耐震性評価APの概要を図2に示します.今回のAPに採用したケーブル被災率は,後述する地震時の地盤変位発生確率表および実験により求めたケーブル被災領域表を重ね合わせたケーブル被災率対照表により推定されます.

図2 耐震性評価AP概要
図2 耐震性評価AP概要


■地震時の地下ケーブル被災プロセス

地震で地下ケーブルが被災するプロセスを図3に示します.

  • ①地震が発生し,地盤に合わせ地下設備が振動.液状化による側方流動や地盤沈下が発生.
  • ②地盤の変状に追従して,管路の伸縮や曲げが発生.老朽設備や地盤変状の大きい個所では,
    継手部の折損・離脱が発生.
  • ③管路に収容されたケーブルに対し,引っ張り・曲げ・せん断等の力が作用し,通信の障害が発生.
図3 ケーブル被災プロセス
図3 ケーブル被災プロセス


■地盤変状の定量化

今回の開発では①②の地震による地盤変状の発生確率について,過去の大地震前後の航空写真測量や縦断測量データを収集分析することで,震度別・地盤の液状化別の発生確率表を作成しました.


■ケーブル被災モデル実験

上記③の地盤変状により管路が損傷した後,管路内に収容されたケーブルにどのような外力が作用し,ケーブルがどのようなメカニズムで被災を受けるのかを実験的に検証しました.
今回のモデル実験では,実際の被災状況を再現するために,標準的な管路,マンホール,ケーブルの固定方法をモデル化し,管路を強制離脱させた場合のケーブル損傷度,伝送損失,心線ひずみ量を確認しました.代表的な被災例を紹介します.

(1)マンホールに接続点がある区間
マンホール内でケーブルがダクトに引き込まれ,スタンダードクロージャー内のテンションメンバ(鋼線)が破断,外被および心線に急激に引張力が作用し断線.(図4(a)−①)
(2)管路の軸方向への離脱
管路の離脱により,マンホール内ケーブルがダクトへ引き込まれ,ケーブル全体に張力が作用.
マンホール内固定用の受金物にケーブルが押し潰され伝送損失が増大.(図4(b)−②)
(3)管路のせん断方向への離脱
管路離脱部の段差の増大により,ケーブル全体に張力が作用するとともに,側圧が作用しケーブル断面が扁平.
管路破損部からケーブルが引き出される際の管端部とケーブルの擦れにより,外被が損傷し,伝送損失が発生.(図4(b)−③)
図4 ケーブル被災状況
図4 ケーブル被災状況

 

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