Yuji Ikeda
開発・運用技術プロジェクト
研究主任
研究所内部の研究開発環境を支えるのが、私が所属する第一推進プロジェクト(※)が行なう『クロスファーム』というサービスです。研究所員がそれぞれの研究に没頭できるよう、研究活動を支えるインフラ整備やサービス開発、運用高度化などを手掛けています。クラウドサービスの技術進歩は研究の現場においても好影響をもたらしていますが、これらのサービスを利用するには環境整備をはじめとする様々な手間が発生します。この部分を一手に引き受ける役割を果たすのが『クロスファーム』です。
これまで、研究所員がクラウドサービスを利用するためには、各部署で発注や設定作業を行う必要があったため、研究に費やす時間の一部を環境整備に割かなければならない状況でした。また、導入する機器が案件により異なる場合、故障など不測の事態が起きた際、復旧に時間がかかることもありました。そのような状況のもと、研究活動を支えるインフラ整備の専門チームを所内に設けて集約化すれば、迅速かつ低廉なコストでの運用が可能になると考え、『クロスファーム』のサービスを立ち上げました。
私たちの仕事は、各部署から出されるサービスオーダーに基づきすぐに使える状態に設定するところからはじまります。とにかく多くのサーバを利用したい、遠隔でも作業ができるネットワーク環境を用意してほしい、GPUを搭載したサーバを利用したいなど、要望は多種多様です。『クロスファーム』では、必要な機器の購入からシステム環境の構築まで、外部サービスとの組み合わせも考慮して導入を進めます。必要な機器を研究所として一括購入することにより、コストを抑える効果もありました。使用頻度の低い機器については、各部署で所有する必要が無いため、一括発注により重複所有を回避できるようになりました。また、設置時の情報やマニュアルなども一元管理ができるため、不具合発生時も迅速に対応できます。
現在は研究所内部向けのプロジェクトとして動いている『クロスファーム』ですが、これにより身につけたスキームや技術は、外部の事業所にも役立つ可能性を秘めています。例えば、環境構築においては、まだまだ人間の手による設定作業が避けられない部分が多くあります。設定を1つでも間違えてしまうと、システムが機能せず多くの利用者に迷惑がかかるため、ミスは許されません。そのため、作業担当者はストレスのある状況下での作業を余儀なくされます。もしこれらの作業を自動化できれば、人的ミスが減り、作業担当者のストレスを軽減することができるでしょう。『クロスファーム』を通して、人々がより働きやすくなるスキームや技術を見い出していきたいと考えています。
※取材当時(2018年12月)の所属プロジェクト
Yuji Ikeda
開発・運用技術プロジェクト
研究主任