生物多様性の回復に向けた海洋生態系未来予測技術

生物多様性の回復に向けた海洋生態系未来予測技術

海洋生態系の変化を予測し、人間社会の豊かさと多様な生物が共生する
「しなやかな社会」を実現します

研究紹介

魚介類や海藻類などの食料や、釣り・潮干狩りといったレジャーのように、人間社会は海洋の生物多様性からもたらされる恩恵を受けて成り立っています。一方で、気候変動の影響や海洋資源の過剰利用、海洋汚染などによって、生物の多様性が失われています。人間社会の豊かさを保ちながら、多様な海洋生態系を両立するしなやかな社会を実現するためには、人間社会と相互作用し変化する海洋の生態系を予測し、生物の多様性を回復する道筋を示すことが重要です。

海洋生態系未来予測技術は、海洋生態系の定量的な変化を予測する技術です。本技術では、まず海洋生態系における物質循環や海洋生物の生態などの生物・化学的な現象を広域かつリアルタイムに観測します。さらに、海流や海洋渦、湧昇などの物理現象と組み合わせて、関心海域の生態系をモデル化しシミュレーションすることにより、海洋生態系の変化を予測します。さまざまな人間社会の活動に応じて変化する海洋生態系を予測することで、今ある人間社会の豊かさを保ちながら、海洋生態系の豊かさを回復させるための道筋を示していきます。

さらに、海域の生態系予測から、養殖というより具体的な産業利用に焦点を当て応用研究として、魚介類成長予測技術にも取り組んでいます。養殖場においてICTを活用し、魚介類の健康状態や成長過程を予測する技術であり、カメラやセンサーによる非接触のモニタリングによって魚体サイズ・体色の変化や外傷の有無を推定します。さらに、水質データと行動データを組み合わせたマルチモーダル分析により、魚種別の成長予測モデルを構築し、出荷予定日における成長度合いや収量を高精度に見積もることが可能です。これにより、養殖業における生産性向上や適切な意思決定を支援するとともに、持続可能な食料供給の実現や海洋生態系の健全な利用に貢献します。

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