更新日:2020/03/01

    低雑音高出力パラメトリック増幅中継技術
    NTT先端集積デバイス研究所
    NTT未来ねっと研究所

    NTT技術ジャーナル2019年3月号:特集「将来の大容量通信インフラを支える超高速通信技術」より

    梅木 毅伺(うめき たけし)†1、2/ 風間 拓志(かざま たくし)†1/ 小林 孝行(こばやし たかゆき)†2/ 圓佛 晃次(えんぶつ こうじ)†1/ 笠原 亮一(かさはら りょういち)†1/ 宮本 裕(みやもと ゆたか)†2

    NTT先端集積デバイス研究所†1/ NTT未来ねっと研究所†2

    さらなる周波数利用効率向上に向けた信号対雑音比の抜本的改善の必要性

    近年、デジタルコヒーレント光通信技術は飛躍的な進歩を遂げ、周波数利用効率は向上による光通信システムの大容量化が進展しています。シャノンの通信理論によれば、高い周波数利用効率を得るためには高い信号対雑音比(SNR: Signal to Noise Ratio)が必須の条件となりますが、光増幅器からの雑音の累積と伝送ファイバ自体の中で生じる非線形光学効果に起因した信号歪みにより(図1(a))、SNRの限界が指摘され始めています(1)。これらの原理限界を打破し光通信システムのSNRを抜本的に改善できる新たな技術の必要性が急速に高まっています。

    図1 PPLN導波路を用いた光パラメトリック増幅による低雑音高出力中継技術
    図1 PPLN導波路を用いた光パラメトリック増幅による低雑音高出力中継技術

    PPLN導波路を用いた光パラメトリック増幅による低雑音高出力中継技術

    現状の光通信システムで広く用いられているEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)に代表される従来の光増幅器では、標準量子限界*1により増幅前後でSNRが必ず3dB以上劣化し、多段に中継すると過剰な雑音が累積してしまいます(図1(b))。…

    1. *1標準量子限界:量子光学における不確定性原理に起因した制約であり、レーザ光増幅器を含む従来の位相感応ではない光増幅器に課せられる理論限界です。

    ■参考文献

    1. (1)R.-J. Essiambre, G. Kramer, P. J. Winzer, G. J. Foschini, and B. Goebel:“Capacity limits of optical fiber networks、”J. Lightwave Technol., Vol.28, No.4, pp.662-701, 2010。

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