壮年期までの20年は虚血性心臓病の病態を深く理解するために心筋機能と冠循環に関する実験研究と臨床観察研究を行なった。山形大学の内科学第一講座を担当した10年は、循環器、呼吸器、腎臓病の内科診療を基礎と実地の両面から掘り下げて学んだ。地域疾患登録研究を全県で計画しこの研究は今日に至るまで継続している。国立循環器病研究センターでの10年は循環器疾患を広く学ぶと同時に、心臓移植の実施に関連する医学、人権、個人の尊厳、社会の関与について深く学ぶことができた。また、ミレニアムゲノムプロジェクト(高血圧の発症に関連するゲノムの探索)とプロテオーム研究はチームを組んで実施し若い優秀な研究者と新しい分野を学ぶことが出来た。ナショナルセンターとして倫理委員会と臨床研究委員会の適正な運営は必須事項であり、責任者としてすべての研究の審議に参画した。榊原記念病院の6年では、重症循環器患者に対する内科、外科、リハビリテーションの連携医療のあり方を学ぶことが出来た。またこの間、東京病院協会の副会長を務め、行政と医療の連携を推進することができた。
NTT Research, Inc.設立に際してはMedical Health Informatics Laboratoriesの所長として、Bio Digital Twinの実現を研究の柱に据え、生理学の強固な概念に立脚したモデルとセンサー情報からCausalityを定量分析してTwinの精緻化を図る両面からアプローチした。2021年7月からは、バイオメディカル情報科学研究センタにおいて、生体情報から健康や疾患発症のCausalityを見出しTwinへのモデル化を研究テーマとしている。