ネットワーク

今後の社会を支える革新的ネットワークの実現に向けた
研究開発に取り組んでいます。

ネットワーク

今後の社会を支える革新的ネットワークの
実現に向けた研究開発に取り組んでいます。

ネットワークシステムへの変革へ。
ネットワークを統合管理するオペレーション技術の最新動向

デジタル化・スマート化社会を支えるネットワーク

5G、AI、IoT などの技術革新により社会全体のデジタル化・スマート化が加速する中、これらの技術革新を柔軟に取り込み、社会のニーズに迅速に対応可能なネットワークシステムの重要性が高まっています。

これまでのようにサービス需要が拡大傾向にあった時期には計画的に設備投資を実行できましたが、今後は予測困難なサービス需要に柔軟かつ迅速に対応可能なネットワークシステムが求められます。NTTネットワークサービスシステム研究所(以下、NS 研)では、これらのニーズや技術革新に柔軟に対応可能なネットワークシステムの実現に向けてオープンイノベーションを積極的に活用した研究開発に取り組んでいます。

「フレキシブル」&「スマート」をキーワードにネットワークを統合管理

NS研では、ネットワークを実現する各種技術に加え、ネットワークを統合管理するオペレーション技術に関する研究開発を推進しています(図1)。これらの研究開発は、「フレキシブル」と「スマート」の2つの軸をベースとしています。

図1 フレキシブルでスマートなネットワークシステムの研究開発
図1 フレキシブルでスマートなネットワークシステムの研究開発

「フレキシブル」とは、仮想化技術、汎用化技術、OSS(Open SourceSoftware)などをベースとして、お客様のニーズに合わせて柔軟対応できるネットワークシステムを実現することです。

従来のような通信キャリア向けにカスタマイズされた専用システムによる設備投資では効率性が低下すると考えられます。そこで、NS 研では仮想化技術、汎用化技術を活用してサービス需要の変化に柔軟に対応し、お客様のニーズに合わせて多様な付加価値機能を迅速に提供可能なネットワークシステムの研究開発に取り組んでいます。OSS を含めた市中技術を最大限活用してシステムを組み上げることで費用対効果が高くスピーディなシステム開発に取り組んでいます。
現行の市中製品が実現していない技術についてはNS 研が先行して標準化団体やOSSコミュニティ等と連携して、OSS や市中技術への盛り込みを実現していきます。

1 つの例として、「Beluganos」と呼ぶネットワークOS の開発とオープン化を進めています。スイッチ分野の汎用化技術として、ホワイトボックススイッチの活用を推進していますが、市販のホワイトボックススイッチ用ネットワークOS はキャリアのネットワークに適したものではありませんでした。そこでキャリア要件の実装促進を目的としてBeluganos の開発を進めています。開発技術のグローバル展開に向けては、海外キャリアやOTT 事業者と連携し、TIP( Telecom Infra Project)コミュニティの「CANDI サブグループ」を立ち上げ、NS研の研究者がリーダとしてCANDI の方針策定・推進に携わっています。
CANDI が提唱するアーキテクチャの一部である転送機能において、Beluganos 搭載ホワイトボックススイッチを活用した海外キャリアとの実証実験を進めています[1]

これらの取り組みで重要なことは、サービスや用途に応じて個々の要件を満たし、柔軟かつ効率的に運用できるネットワーク基盤を実現することです。その実現に向けて、ネットワークスライシング技術の研究開発と国際標準化に取り組んでいます。ネットワークスライシング技術は共通のネットワーク基盤上に特性の異なる複数の論理的なネットワークを実現します。NS 研では、技術の実証を進めるとともに関連する標準化団体に働きかけ、積極的にキャリア要件を反映する取り組みを進めています。

多種多様なネットワークシステムを「スマート」に使いこなす

ふたつ目のキーワード「スマート」とはフレキシブルなネットワークシステムを使いこなす技術のことです。近年、ICT 環境はクラウドやSaaS に代表されるように自ら所有することなく利用可能になる一方で、多種多様なリソースを組み合わせてICT 環境を構築するため、運用の複雑さ、プロセスの煩雑さが課題となっています。

そこでお客様がICT 環境を意識することなく生活をサポートする社会基盤を実現するスマートなオペレーション技術の実現に取り組んでいます。オペレーション業務の効率化を図るため、人手で実施していた作業をAI によって自動化することが期待されていますが、既存のAI は誤判定を避けられないため、誤りが許されないミッションクリティカルなオペレーションへの活用は困難です。

この課題解決のために、AI が自ら判定結果の確からしさを評価するFalse-aware AI(FAI)を実現することで、判定結果が不確実なものに絞って、オペレータが介入することにより誤りを最小限に維持しつつオペレーション業務の効率化を図ることができます。さらに、ネットワークに接続される多種多様なICT リソースの最適活用に向けて、環境に応じて効率的なコードを自動生成する環境適応ソフトウェア技術の研究を進めています。

PSTN マイグレーション

先進サービスに加えて、既存サービスに最新技術を取り込んでアップデートする研究開発にも取り組んでいます。現在、従来の公衆電話網(PSTN)が提供してきた機能をIP網ベースのNGN に移行する「PSTNマイグレーション」が計画されています。PSTN マイグレーションによって、電話サービスの通信キャリア間接続についても、従来のPSTNを介した形態からIP ベースの直接接続(IP 相互接続)の形態へと移行します。IP 相互接続の実現に向け、必要な技術開発と国際・国内標準化、および関連システムの開発を進めています。

今後の展開

NTT では、将来の革新的なネットワーク構想として「IOWN」を提案しています[2]。NTTでは、今後も社会のスマート化・デジタル化を支えるネットワークシステムの研究開発を推進するとともに、IOWN 構想に基づき、より大容量・低遅延で低消費電力のオールフォトニクスネットワークの実現に取り組みます。

参照

  1. [1]NTT 持株会社ニュースリリース「NTT とTelefónica がオープンな伝送/転送技術に関する共同実験をTelecom Infra Project で開始」(2019/10/16)
    https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/10/16/191016b.html
  2. [2]NTT 持株会社ニュースリリース「『NTTTechnology Report for Smart World:What’sIOWN?』の発表について」(2019/5/9)
    https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/05/09/190509b.html

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