今後の社会を支える革新的ネットワークの実現に向けた
研究開発に取り組んでいます。
今後の社会を支える革新的ネットワークの
実現に向けた研究開発に取り組んでいます。
事業者や産業の垣根を越えて様々なデータ流通し、社会課題の解決や新たな価値創造に寄与しています。こうした多くのデータを効率的かつ的確に活用するために、社会全体がデジタルトランスフォーメーション(DX)に積極的に取り組み始めています。
今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)をより加速させるためにNTTネットワーク総合研究所が研究開発を進めるネットワークの3つの技術に関してご紹介します。
運輸、農業・漁業、医療、防災、製造、観光、エンターテイメント等の社会システムを運用する事業者のネットワークサービスでは、ICTなどの多様なサービスをマルチオーケストレータやAPIを通して連携させ、事業者の要求に応じて最適な構成で提供することが求められます。また、ただ提供するだけではなく、迅速で安定的な供給も必要です。
そのためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるためにネットワークサービスに必要とされる技術が
の3つの技術です。
NTTネットワーク総合研究所では、これまでネットワークの高速・大容量化や接続性の高度化に加え、フレキシブルなネットワーク構成の為にネットワーク機能の部品化とそれらを一元的にコントロールするための仕組み作りを進めてきました。
これはハードウェア処理が必要な部分とソフトウェアで制御する部分を分離し、要求に応じて機能を入れ替える技術です。
この技術を活用して開発されたのが、光アクセス装置の一部をソフトウェア化し、次世代通信規格「5G」など様々な用途に入れ替えられる技術であるFASA(Flexible Access System Architecture)です。
FASA は帯域制御機能、マルチキャスト処理機能、保守機能等を機能ごとにソフトウェア化し、一部の機能もしくはその組合せを必要とするユーザに対して提供することができます。
そのため、多様なサービスを迅速に提供することができます。
また、汎用ハードを長期的に使用することで、設備投資の低減やサービス継続性の向上、保守業務の共通化によるオペレーション費用の低減を実現できます。
本技術を活用して光回線を分岐できれば、よりコストを抑えた5Gの基地局展開が可能となるだけでなく、工場内でロボットを制御するような用途にも応用することが可能となります。
一元的なコントロールを実現するAPIについては、キャリア、システムベンダ、標準化団体、OSSコミュニティなど様々なパートナーと共通的に使用するための標準化に取り組んでいます。
共通的なAPIフレームワークの構築をめざして各種参照モデルの具体化に取り組み、迅速なICTリソースの配備と構成の最適化を可能とする使いやすいオープンなAPIの提供を進めています。
NTTネットワーク総合研究所が重視し取り組んでいるのが、潜在的なリスク(輻輳・故障等)や需要の変化を予見的に検知し、事前に積極的な対応をとるプロアクティブ制御型ネットワークへの変革です。そのために必要な技術がプロアクティブ制御技術です。
AI 技術の進展に伴い、需要予測に基づきリソースを自立的に追加するオートスケーリング機能や故障予知情報・突発故障に対応して経路制御を行うオートヒーリング機能の精度が向上しています。 プロアクティブ制御型ネットワークは、AIによって自律的に将来への対応を行うことで、事前のリスク回避や担当者の負担軽減などを行います。
ディープラーニングを用いた異常検知技術、および装置アラームとネットワーク故障原因との因果関係を自律解析する技術を確立し、NTT事業会社において実証実験を実施するなど、プロアクティブ制御型ネットワークへと変革する取り組みを着実に進めています。
一連のオペレーションを、各種要因に対する①監視(検知)、②分析、③制御・復旧の各フェーズに分け、AIを活用します。各フェーズで必要とされるAI関連技術は様々ですが、通信事業者が保有する膨大なデータ資源を最大限に活用することで学習精度を大幅に向上させることが可能です。
保守運用の現場では、必要な判断や制御が保守者のスキルに委ねられています。経験豊富や保守者であれば故障などの際にも状況を瞬時に分析・判断し適切に対処することができますが、豊富な経験を持つ人材を取りそろえるのは容易ではありません。24時間365日の故障対応が必要な現場では経験豊富な人材に負担がかかり、特定の人材に依存するというリスクを抱えた状況に陥りやすくなっています。
保守運用業務における保守者のフローは情報収集/分析判断/制御の3要素に分解できます。
情報収集部では、保守者に代わりAIがユーザ申告やアラーム等を分析し、発生事象や対処方法を管理・蓄積します。
制御部については、情報収集部が平常時から継続的に蓄積する情報とサービス品質を保障するためのサービス基準を照らし合わせ、システム連携されたAIが分析・判断するための土台を作成します。
さらに、細分化した保守者の判断フローを学習させることにより、複数の事象に対応するための自律制御ループ群を構築します。
このようにAIによる学習が進展し、自律制御ループ群が高度化することで、保守者が対応していた複数の業務を順次自動化することができます。これらの高度化が進むと、AIでもサービス基準に合わせた情報を元に、優先度判断やその判断に基づいた自動制御が実現できるようになります。
NTTネットワーク総合研究所では最終的にはゼロタッチオペレーションを実現する自律制御ループの構築を目指しています。
近年の自然災害の増加を背景に、これまで以上に災害に強く柔軟であることがネットワークに求められています。
NTTネットワーク総合研究所では、そのためのオペレーション技術を常に研究・開発し続けています。
「災害対策用加入者系無線システム(TZ-403D)」はNTT局舎と避難所を接続して避難所で特設公衆電話などのサービスを提供するシステムです。このシステムを使うと、数十kmの見通し外通信を可能になります。また、避難所に設置する複数の端末局を1つの基地局に収容し、臨時電話回線だけでなくインターネット接続や特設Wi-Fiアクセスポイントの開設することが可能となります。
「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」では、基地局を岡山県総社市のNTTビルに設置し、浸水被害の激しかった岡山県倉敷市真備地区の避難所2カ所に端末局を設置して通信を確立しました。この事例ではNTTビルと避難所間に山があるなどの問題をクリアし、どちらの避難所とも1ヶ月以上にわたり支障なく通信が確立できました。
NTTネットワーク総合研究所は、迅速なICTの配備や構成の最適化などの最適な機能を備えたネットワークの研究開発に取り組みます。これからもデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、ネットワークにおける新時代の社会基盤の実現をめざします。