社会インフラ設備の経年による老朽化の一途、および少子高齢化による人々の健康維持への警鐘などの社会課題の解決、すなわち社会と人の長寿命化を図ることで、豊かで持続可能な社会の実現を目指しています。これまで培ってきたフォトニクス技術、エレクトロニクス技術、材料科学技術を結集して、社会インフラの維持管理に資するインフラメンテナンス技術、および医療・ヘルスケア分野の可能性を拡大するウェアラブルデバイス技術の実用化開発に取り組んでいます。また、技術の普及促進および社会・事業の動向・ニーズを踏まえた開発戦略提案も推進しています。
IOWNを支える通信インフラを含む社会インフラを対象に、サステナブルなインフラメンテナンス技術を創出することで、安心・安全な社会インフラの実現を目指しています。コア研究の成果を社会につなぐ技術開発として、材料劣化を分析して材料の観点から設備を長寿命化・延命化する技術、また開発したデバイスをツールとして活用して点検・保守の作業効率を向上する技術などの開発を行っています。例えば通信用鉄塔のメンテナンス技術として、これまでに長寿命塗料を選定するための試験方法の開発や、塗料の塗り重ね方(塗装仕様)の最適化を行ってきており、さらには塗料(ジンクリッチペイント(高濃度亜鉛粉末含有塗料))そのものの高性能化や、新しい除錆ツールとしてのレーザの活用にも取り組んでいます。鉄塔に限らず、電柱や地中の設備など、様々な設備を対象とした技術開発を進めています。
IOWNのプレイヤーである「人」を対象に、ウェアラブルデバイス技術を創出することで、IOWN構想のめざすスマートヘルスケアを実現し、人々の長寿命化に貢献することを目指しています。コア研究の成果を社会につなぐ技術開発として、センシング技術と医療IoT技術を融合させて次世代のウェアラブルデバイスの開発を行っています。また、NTTグループ内外の産官学組織との連携による、技術の普及促進および社会・事業の動向・ニーズを踏まえた開発戦略策定にも取り組んでいます。例えば、着用者の生体情報(心電・心拍)、衣服内の温度・湿度、加速度を自動取得するウェアラブルデバイス(ウェアラブル生体環境センサ)そのものの開発のほか、センサで測定されたデータから体内温度変動を推定し体調不調リスクを管理するアルゴリズム(国立大学法人名古屋工業大学との共同研究)など、医療・ヘルスケアに関わる技術開発を幅広く担っています。