教育支援技術

絵本知識テスト

子どもの心や言葉の発達に影響を与える絵本の読み聞かせ環境の豊かさは、養育者の絵本知識を通じて測定できることが知られています。これまでは主に英語圏で実施可能だった「絵本知識テスト」を、このたび日本語でも実施できるものを作成しました。40冊の絵本タイトルと40名の著者リストから、知っている項目にチェックをつけてもらうことで、皆さんの絵本知識を簡単に測定することができます。絵本知識テストの実施後に表示される画面では、ご自身の結果に加え、これまでに調査した約2,750名のデータから算出した絵本知識テストの得点分布や知識率も確認できます。

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絵本検索システム「ぴたりえ」

乳幼児期に絵本を読み聞かせすることは、子どもの言葉や心の発達を後押しすることが知られています。しかし、子どもの発達は個人差が大きく、興味も千差万別で、子ども一人ひとりに合った絵本を探すのは至難の業です。そこで私たちは、自然言語処理や類似探索などのAI関連技術を用いて、子ども一人ひとりに合った絵本を検索するシステム「ぴたりえ」や、ロボットとやり取りしながら子どもの興味を推定して絵本を推薦するシステム「ぴたりえタッチ」などを開発してきました。現在、沖縄県恩納村や兵庫県西宮市、静岡県磐田市の図書館などで実証実験を行っています。

語彙数推定テスト/単語親密度データベース

単語親密度とは、語のなじみ深さ(familiarity)を成人を対象とした評定実験によって数値化したものです。私たちはこれまで約7万7千語の単語親密度(『日本語の語彙特性』に収録)を公開し、心理学や言語学、言語処理などの様々な分野で活用されてきました。しかし、前回の調査から20年以上も経ってしまったため、新しい語を追加した調査を実施し、約16万3千語からなる『令和版単語親密度データベース』を構築しました(NTT印刷より販売中)。また小中高校生を含む約4,600人の語彙数調査を実施し、各学年・年齢における語彙獲得状況を、単語親密度に対応付けてモデル化しました。これらの結果を反映して『令和版語彙数推定テスト』も作成しました。

個別最適化した問題推薦技術

私たちは、誰にとっても効率的な学びを実現するため、学習者それぞれにとって適度な難易度の問題を推薦することができる問題推薦技術の研究に取り組んでいます。私たちが提案するMonotonicVAE法は、多数の学習者が過去にどんな問題に正解したか、不正解だったか、未接触であるかという問題の正誤情報に基づき、学習者が初めて見る問題に正解する確率を予測できます。英語問題を対象とした実験では、それぞれの参加者が75%付近の確率で正解できると予測された問題を選出し出題したところ、実際の正答率は約72%と予測の精度の高さを確認できました。このほかにも、英語語彙数推定テストや英語絵本検索システム、英語問題の自動生成技術の研究も進めています。