NTTアクセスサービスシステム研究所
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ANSL R&D Times

最大遅延揺らぎ保証サービスの実現

双方向アプリケーションの操作体感を向上させる新たなサービス構想とこれを実現するQoS技術

リモートデスクトップやクラウドゲーム、遠隔ロボット操作といった双方向通信型アプリケーションの操作体感を向上させるためには、通信遅延やその揺らぎを抑える必要があります。要求遅延量を考慮する新たなQoS技術である遅延制御シェーピングを用いて瞬間輻輳の発生を防ぐことにより、遅延揺らぎを保証する新たな通信サービスを実現します。

背景

双方向通信型アプリケーションの需要が高まっています。ここでは、応答時間がユーザ体感に強く影響を与えます。応答時間の大部分を占めるのは映像信号の送受信処理です。これを短縮する際ネットワークに求められる遅延揺らぎ要件は厳しいものとなり、現在主流のベストエフォートサービスではサポートが困難です。一方で、双方向通信型アプリケーションにはそれぞれのアプリケーション毎に特有の応答時間条件があることが想定されます。
本技術では、このようなアプリケーション毎の特有の条件を考慮しながら、ネットワークに求められる遅延揺らぎ要件を満足する遅延揺らぎ保証サービスの実現を目的としています。
概要

リモートデスクトップやクラウドゲーム、遠隔ロボット操作といった双方向通信型アプリケーションでは、「遠隔地から受信した映像に基づきユーザは操作を行い、操作した結果を映像として受信してユーザはこれを認知する」という動作になることから、操作してから映像が帰ってくるまでの応答時間がユーザ体感に強く影響を与えます。応答時間の大部分を占めるのは映像信号の送受信処理です。これを短縮するためにはコーデックによる圧縮を抑えたり、受信バッファを短くしたりする必要がありますが、その際ネットワークに求められる遅延揺らぎ要件は厳しいものとなり、現在主流のベストエフォートサービスではこれをサポートするのが困難となっています。

一方で、双方向通信型アプリケーションにはそれぞれのアプリケーション毎に特有の応答時間条件があることが想定されます。例えば、映像が1秒間に60枚の画像を表示する形態である場合、その画像1枚分である1/60=16.6ms以内であれば問題ないと言える場合もあります。さらに、ユーザの習熟度によっては、画像2枚分である2/60=33.3ms以内であれば問題ない場合もあります。本技術では、このようなアプリケーション毎の特有の条件を考慮しながら、ネットワークに求められる遅延揺らぎ要件を実現する通信サービスである、遅延揺らぎ保証サービスを実現することを目的としています。

 

 

 

 図1 遅延制御シェーピングの動作

 

 

 

 

 図2 遅延制御シェーピングを活用した遅延揺らぎ保証サービスのアーキテクチャ

 

今後の予定
今後は、トライアル等を通じて、フィージビリティを確認し、サービス化に向けた検討を進めていく予定です。
担当者
アクセスサービスシステムプロジェクト アクセスイノベーショングループ
谷口 友宏(グループリーダ)
福井 達也(研究主任)
坂上 裕希(研究主任)
津上 諒平(社員)
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