NTTアクセスサービスシステム研究所
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光アクセスシステムの仮想化を実現するOSSへの貢献

NTTアクセスサービスシステム研究所では、多様なサービスの効率的な収容に向け、光アクセスシステムの抽象化機能を開発し、SEBA(SDN-Enabled Broadband Access)のOSS(Open Source Software)へ貢献しています。

背景

光アクセスシステムは、従来は主に、通信局舎と加入者宅をつなぐFTTH(Fiber To The Home)サービスを提供することをターゲットとしていましたが、近年では、モバイルアンテナと通信局舎間の接続や、工場・大学内LAN等の多様なサービスへの適用が検討されています。これまで、光アクセス装置はサービス毎に設計され、アクセス方式や開発ベンダ毎にも詳細な仕様が異なるため、新たなサービスの提供のためには、OLT(Optical Line Terminal)等の伝送装置の開発だけではなく、オペレータの運用システムの大規模な開発が必要となりました。これは、光アクセス装置上で伝送機能と制御機能が密結合していたためで、この課題を解消するために、光アクセスシステムへのネットワーク仮想化技術の適用が検討されています。
OSSの開発コミュニティであるONF(Open Networking Foundation)では、多様な光アクセスシステムの仮想化を実現するプラットフォームであるSEBA(SDN Enabled Broadband Access)(図1)の開発を進めています。SEBAの中の主要な構成要素としてVOLTHA(Virtual OLT Hardware Abstraction)、ONOS(Open Network OS)、NEM(Network Edge Mediator)があります。VOLTHAは多様なアクセス方式、ベンダ仕様に対して共通的な管理インターフェースを提供する抽象化機能を実現することを目指して設計されているソフトウェアです。また、VOLTHAはOpenFlowコントローラであるONOSや、運用システムからの投入情報を配下の構成要素に解釈できる形に変換するNEMを経由して制御されます。これらのソフトウェアの開発は2020年12月現在も進められており、オペレータの運用手順に応じた動作検証やソフトウェアの安定性の向上が図られています。


図1 SEBAの構成

概要

主要な光アクセス方式として、ITU-T標準とIEEE標準が世界的に用いられています。NTTアクセスサービスシステム研究所では、VOLTHAとNEMに対し、IEEE標準仕様へ対応するための抽象化機能の実装を行い、SEBAへの貢献を行っています。具体的には、VOLTHAのIEEE仕様向け設定ファイルの構成の決定、読込部実装によるアクセス方式の抽象化とIEEE仕様ハードウェア設定部の実装(貢献内容①)、IEEE仕様向け認証ワークフローの実装による装置認証方式の抽象化(貢献内容②)を行っています。表1に公開したソフトウェアの一覧を示します。貢献内容①と②についてを次ページより詳しく説明します。

 

表1 公開したソフトウェア   

貢献内容
ソフトウェアのURL
公開年月
 IEEE仕様向け設定ファイル、読込部
20206
IEEE仕様向けOLTハードウェア設定部
202012
IEEE仕様向けONUハードウェア設定部
202012
IEEE仕様向け認証ワークフロー
202012

 

 

 

今後の予定
具体的な適用先の検討や、トライアルの検討を進めています。
担当者
光アクセス基盤プロジェクト 光アクセス基盤高度化グループ
島田 達也(グループリーダ)
山田 崇史(主幹研究員)
浅香 航太(主任研究員)
西本 恵太(研究員)
小屋迫 優士(研究員)

光アクセス基盤プロジェクト 光アクセス基盤SEグループ
鈴木 貴大(研究員)
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1. 貢献内容① アクセス方式の抽象化