NTTアクセスサービスシステム研究所
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ANSL R&D Times

ミリ波帯置局設計支援ツール

現地下見なしで最適な置局設計を実現します!

無線設備の設計を現地に行くことなく行うことができ、最適な置局位置を判定することができる置局設計支援ツールを開発しました。

背景

送受信に指向性アンテナを使用することが基本であるミリ波帯/準ミリ波帯無線では、送受信局間に見通しが無いと大きなレベル低下や回線断が生じます。これらの周波数を用いる無線局の置局設計を行う際には個別に下見を実施して設置できるかどうか判定することが求められ、設計時の負担となっていました。
概要

無線通信への高速・大容量化のニーズはますます高まっています。すでに利用が進められている低い周波数帯に対し、ミリ波帯/準ミリ波帯では広い周波数帯域幅を取ることができることから、高速な無線通信の実現が可能です。こうしたことから、5G/ローカル5G等の新たな無線システムを構築するためにミリ波帯/準ミリ波帯の活用が進められています。一方で、これらの高い周波数帯では、送受信アンテナに指向性の鋭い高利得アンテナを用いることが一般的であり、送受信局間が建物や樹木等の遮蔽物に遮られるとレベル低下や回線断が生じることがあります。

 

 

 図1 ミリ波帯/準ミリ波帯の利用

 

図1 ミリ波帯/準ミリ波帯の利用

 

 

このため、従来ミリ波帯/準ミリ波帯の無線設備を設計する際には個別に下見を実施して見通しの有無を判定していたため、コストがかかっていました。また、電波は見通し線を中心とした回転楕円体(フレネルゾーン)に広がりをもって伝搬することを考慮する必要がありますが、無線設計の有スキル者が不足しているためフレネルゾーンを考慮した判定を行うことができず、下見を実施して設計したにも関わらず、実際に無線設備を構築した際には通信ができなかった等、手戻りが発生することも多くありました。

今後ミリ波帯/準ミリ波帯を利用した無線設備の導入が進んでいくことが予測されることから、個別に事前下見を行うことなく置局設計を行うことができ、かつ、手戻りを抑止できる置局設計支援ツールを開発しました。

 

 

図2 電波の広がり(フレネルゾーン)の様子

 

今後の予定
ローカル5G/5Gサービスで広がるミリ波/準ミリ波利用に貢献していきます。
担当者
無線エントランスプロジェクト 基幹方式グループ
北 直樹(グループリーダ)
俊長 秀紀(主任研究員)
後藤 和人(研究主任)
坪井 秀幸(研究主任)
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