
PONシステムの抜本的な性能向上を実現するデジタルコヒーレント光アクセス技術
デジタルコヒーレント光アクセス技術
多値変調や、デジタル信号処理、コヒーレント受信技術を適用したPONシステムでは、伝送レートの更なる高速化や、抜本的な長延化、多分岐化を実現することができます。ここでは、デジタルコヒーレント光アクセス技術の取り組み状況を紹介します。
図1 デジタルコヒーレント光アクセス技術を適用した将来アクセス
背景
各家庭まで光サービスを提供するFTTH(Fiber To The Home)を実現するため、日本をはじめとした世界各国でPON(Passive Optical Network)と呼ばれる光アクセスシステムが導入されています。現在のPONシステムでは、二値の強度変調信号を送信し、光強度のみを受信する方式を用いており、伝送レート1~10Gbps、分岐数32、伝送距離20km程度のアクセスネットワークが実現されています。
概要
これに対して、NTTアクセスサービスシステム研究所では、PONシステムの抜本的な性能向上を狙い、多値変調、デジタル信号処理(DSP: Digital Signal Processing)、および、コヒーレント受信技術を活用したデジタルコヒーレント光アクセス技術について検討を行っています。
例えば、多値変調*1を用い、1波長当りの伝送レートを10Gbps以上に向上することができ、これにより、更なる高速光アクセスサービスの提供ができます。また、デジタルコヒーレント受信*2による最小受信感度*3の改善効果により、1波長あたりの伝送レートの高速化と同時に、40km以上の広域アクセス、および、64分岐以上の多分岐化を実現し、通信局舎の統合や光通信設備の削減に寄与することができます。
NTTアクセスサービスシステム研究所では、特に技術的な課題となる上り通信のバースト信号受信技術を世界に先駆けて提案し、リアルタイム受信実験により基本検証を実施いたしました。
*1多値変調:信号の強度や位相等に情報を乗せ、通常1ビット送信する時間に、複数ビット送信することで伝送レートを向上する信号変調方式
*2デジタルコヒーレント受信:受信側に配置した光源の局部発信光と、受信した光信号の干渉成分を受信するコヒーレント受信技術と、デジタル信号処理による受信信号の特性補償技術を組み合わせた信号受信方式
*3最小受信感度:受信側で正しく信号を復号できる最小の受信信号強度
今後の予定
検証したデジタルコヒーレント光アクセス技術の基本技術に加え、光アクセスシステムの各種要求条件を満たすことができるよう、引き続き要素技術の研究開発を行います。
担当者
光アクセス基盤プロジェクト 光アクセス基盤SEグループ
鈴木 謙一(グループリーダ)
可児 淳一(主幹研究員)
キム サンヨプ(主任研究員)
藤原 正満(主任研究員)
胡間 遼(研究員)
鈴木 貴大(社員)
可児 淳一(主幹研究員)
キム サンヨプ(主任研究員)
藤原 正満(主任研究員)
胡間 遼(研究員)
鈴木 貴大(社員)
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