
現在、弊所での開発は終了しております
世界初、2偏波同時使用による偏波無追尾衛星システム
偏波調整不要な簡易アンテナで通信を実現
従来の衛星通信で必要不可欠であった地球局アンテナの偏波軸調整を不要とする新たな伝送技術を開発し、実証実験において良好な結果を得ましたので紹介します。
図1 適応偏波多重伝送による偏波無追尾衛星通信システム
背景
地上のブロードバンドサービスが利用できない航空機や船舶内において、通信網を構築するには衛星通信網を利用することが必要です。このような衛星通信回線を用いた通信サービスの利用が、年々が増加しております。
衛星通信では「偏波」と呼ばれる電磁界の性質を利用することで、同じ周波数の電波に対して直交関係にある2つの偏波を同時に使用することで、限られた周波数資源を有効利用しております。
従来の衛星通信システムでは、各地球局は使用する偏波と周波数が割り当てられるため、各地球局のアンテナを通信衛星のアンテナに対して、「方向」と「偏波」の両方を調整する必要があります。このとき、地球局の偏波調整が不十分であると、同一周波数の異なる偏波を利用する他の地球局に対して、干渉を与えることになります。そのため、地球局には厳密な偏波調整が要求されますが、偏波の調整はアンテナを機械的に回す等、高い専門性とスキルが要求されます。
衛星通信では「偏波」と呼ばれる電磁界の性質を利用することで、同じ周波数の電波に対して直交関係にある2つの偏波を同時に使用することで、限られた周波数資源を有効利用しております。
従来の衛星通信システムでは、各地球局は使用する偏波と周波数が割り当てられるため、各地球局のアンテナを通信衛星のアンテナに対して、「方向」と「偏波」の両方を調整する必要があります。このとき、地球局の偏波調整が不十分であると、同一周波数の異なる偏波を利用する他の地球局に対して、干渉を与えることになります。そのため、地球局には厳密な偏波調整が要求されますが、偏波の調整はアンテナを機械的に回す等、高い専門性とスキルが要求されます。
概要
直線偏波を用いる衛星通信において必要不可欠ない偏波調整そのものを不要とするAPDM (Adaptive Polarization Division Multiplexing : 適応偏波多重) 伝送技術を開発しました。本伝送技術を用いた偏波無追尾衛星通信システムの概念図を示します。
本方式では、従来の衛星通信システムと異なり、1つの地球局に対して、同一周波数の2つの偏波を割り当てて送信します。このとき、同じ周波数で異なる偏波を使用する地球局が存在し得ないため、偏波間干渉の問題が回避されます。なお、通信衛星のアンテナに対して偏波は調整されていないため、偏波間干渉が発生しますが、ここで発生した干渉を受信側で補償します。
今後の予定
商用衛星装置への本伝送方式および要素技術の適用等、事業導入を目指していく予定です。
担当者※当記事のお問い合わせは受け付けておりません
ワイヤレスアクセスプロジェクト 衛星通信システムグループ
杉山 隆利(グル―プリーダ)、鈴木 義規(研究主任)、中平 勝也(研究主任)、阿部 順一(研究員)
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