IOWN構想を早期に可視化する移動固定融合を支える革新的なネットワーク/アクセスシステムの技術開発を実施するとともに、既存ネットワークの競争力を維持する技術開発へ取り組みます。
NTTネットワークイノベーションセンタ
センタ長 松本 健一郎
Society 5.0 で実現する人間中心の社会において、通信ネットワークはサイバー空間とフィジカル空間との多様な情報流通を支える社会基盤としてさらなる発展が必要です。デジタル化による①ネットワーク上のデータ量増加や②IT機器によるエネルギー消費の指数関数的な増加だけでなく、③サービス提供主体・形態の多様化や④日本の労働人口の急速な減少、⑤サプライチェーンの変化など、われわれをとりまく環境は大きく変化しています。
一方、商用サービスとして5Gが開始されていますが、世界各国では既にBeyond 5Gに向けた研究開発が動き始めています。Beyond 5Gでは光・無線の技術境界を超えて、通信ネットワークを含む社会基盤を大きく変革していくチャンスです。
このような状況の中で、2019年に、我々NTTはすべてを光で接続するオールフォトニクス・ネットワーク (APN)、物理世界とデジタル世界の掛け合わせにより未来予測するデジタルツインコンピューティング(DTC)、あらゆるもののつながりを制御するコグニティブ・ファウンデーション(CF)からなるIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を発表し、IOWN Global Forumを設立し、NTT研究所でも積極的に提案活動を進めてきました。
いよいよIOWN構想を具現化する技術開発へ取り組むフェーズとなってきており、ネットワークイノベーションセンタでは優れた研究成果の創出と早期の可視化・実用化に向けて次の取り組みを行います。
a)Whitebox技術等を活用したopen&disaggregatedなネットワークシステム開発
FPGA、ASIC、光電融合技術などの多様な先端半導体が革新的なネットワークには不可欠です。さらにこれら先端半導体を思うように使いこなしてくことには大変な難しさがあります。RAN、VPN、Switch制御等、ネットワーク処理はソフトウェア化が進展しており、様々なネットワーク処理を、先端半導体で効果的に処理可能とする技術へ取り組みます。
b) ネットワークリソース最適調和・ネットワーク運用技術(CognitiveFoundation)の高度化
無線リソースは従来の4G/LTEはもちろん、衛星通信、Wi-Fi、WiMAX、IoT向けのLPWA (Low Power, Wide Area)、そして5G、Local 5Gなど、非常に複雑です。コグニティブ・ファウンデーションは、あらゆるICTリソースを全体最適に調和させて、必要な情報をネットワーク内に流通させる機能を担っており、コアネットワークとアクセスネットワークを含めて、ユーザが意識することなく、ナチュラルな使用感でいつも適切なネットワークが利用できる技術へ取り組みます。
4G/LTE や5Gに代表される移動ネットワークと光ファイバに代表される固定ネットワークでは、ネットワーク処理や運用に様々な違いがあります。光・無線の技術境界を超えてネットワークがつながってあたりまえインフラとして活用される社会へ向けて、移動・固定といったネットワーク種別にかかわらず、高度にネットワークの処理・運用を行う技術へ取り組んでいきます。
NTTの光伝送ネットワークは、お客様サービスのニーズに応えるため、100Gbpsから400Gbpsへの拡張が進められています。また、2025年ころにはPSTNがIP網にマイグレーションされます。これまで培ってきた通信ネットワークを維持しながら新たなネットワークに発展させていくことはインフラの大切な役割です。通信ネットワークを維持しサービスの提供を継続するためには膨大な設備の維持と運用が必要であり、これらの維持運用を高度化し新たなネットワークへ発展させる技術へ取り組んでいきます。
NTTネットワークイノベーションセンタの住所、地図、アクセス情報を掲載しています。