NTTアクセスサービスシステム研究所
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ANSL R&D Times

10G-EPONバジェット拡大技術

高出力・高感度な光トランシーバの開発

10G-EPONシステムのバジェット拡大技術として、10G-EPON OLTに搭載可能な高出力・高感度な光トランシーバを開発しました。本技術により、システムの伝送路バジェット拡大できるため、従来より遠方のお客様にも信号を伝送することが可能となり、本システムを用いたサービスの拡大が見込まれます。

背景

これまでの10G-EPONシステムでは、図1に示すように、OLT配下に光セレクタを挿入することで、PONパッケージのN:1冗長構成を実現しています。本機能により、ある通常PONパッケージが故障した際に冗長用のPONパッケージ側に経路を切り替えることで、通信を維持することが可能です。
一方、この光セレクタの透過損失により光パワーが減衰し、収容可能なお客様が限られるという課題がありました。この課題を解決するため、AS研では、従来よりも高出力・高感度なOLT光トランシーバの実現に取り組みました。

図1 10G-EPONシステムにおけるバジェット制限
図1 10G-EPONシステムにおけるバジェット制限

概要

開発したOLTトランシーバ内の光送受信のフロントエンドを担うトリプレクサ(Triplexer)構造を図2に示します。10G送信部(10G-TOSA)には、SOAを集積したEA-DFBレーザ(AXEL)を採用することで、高出力化を達成しました。一方受信側(ROSA)は、TIAとAPDの回路チューニング、およびTIAに最適に適合するAPDを選択することによって、受信性能を向上させました。また、NTTの設計技術を活かし1G-Txを小型化することで、GE側のバジェットを維持したまま、トランシーバサイズをOLTに実装可能なXFPサイズにまで小型化しました。本技術により、GE側のバジェットに影響無く10G-OLT~10G-ONU間ロスバジェットを従来よりも高バジェット化でき、より遠方のお客様にまで10Gシステムを展開可能となりました。

 

 図2 光トランシーバ内のトリプレクサ構造

 

図2 光トランシーバ内のトリプレクサ構造

 

今後の予定
10G-EPONシステムの伝送路バジェット拡大を実現する、従来よりも高出力・高感度なOLT用光トランシーバを開発しました。これにより、より長距離のお客様に10G-EPON信号を届けることが可能となりました。今後は実用化開発に向けた検討を継続していきます。
担当者
光アクセス基盤プロジェクト 光アクセスシステムグループ
吉田 智暁(プロジェクトマネージャ・グループリーダ)
下羽 利明(主任研究員)
嶌津 聡志(主任研究員)
宮武 遼(研究員)
名越 遥(研究員)
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