NTTアクセスサービスシステム研究所
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ANSL R&D Times

橋梁添架設備の腐食検出技術

深層学習を用いた腐食自動検出アルゴリズムによる診断業務の稼働削減

本技術は、橋梁添架設備の画像から腐食を自動で検出する技術です。UAV(Unmanned Aerial Vehicle)や望遠カメラなど様々な手段で撮影した橋梁添架設備のデジタル画像から、画像処理技術を用いて設備に生じた腐食を自動検出することがきるため、劣化診断作業の効率性を向上できます。

背景

NTTグループは全国約4.3万橋に橋梁添架設備を設置しており、定期的にこれら全ての点検を行っています。現行の点検診断業務は、点検対象設備の現地画像を撮影し、事務所で全ての画像に対して劣化有無の判断や劣化箇所のマーキングを手作業で実施しています。現行手法は、作業者の判断による個人差や膨大な設備に対して劣化状態を確認する稼働面に課題があり、維持管理の効率化が求められています。


図1 橋梁添架設備の構成と診断時の問題点

概要

撮影画像から腐食領域の検出を行う場合、点検対象以外の領域も過剰に検出してしまうという課題がありました。そこで、画像中の腐食領域を検出するアルゴリズム①と、点検対象となる設備領域を特定するアルゴリズム②を構築し、それらの出力結果の論理積をとることで、正確に設備領域の腐食を検出することを可能としました。アルゴリズム①および②は以下の手法で構築しています。


アルゴリズム①:腐食領域の検出

深層学習における画像認識手法の1つである画像セグメンテーションを用いて、画像中から腐食を画素単位で検出する学習を行い、腐食領域検出モデルを構築します。腐食領域の判定器構築における反復学習で、AUC(Area Under an Receiver Operating Characteristic Curve)最大化を行い、腐食の過検出を抑制しています。

 

アルゴリズム②:設備領域の検出

CNN(Convolutional Neural Network)による画像分類を用いて、画像中から点検対象設備の領域を検出する学習を行い、設備検出学習モデルを構築します。設備領域を判定する画像サイズを最適化することで、設備検出精度を向上させています。

 

 

図2 腐食検出の手法

今後の予定
橋梁添架設備の劣化度合いを自動判定することができる技術の構築に取り組みます。
担当者
シビルシステムプロジェクト 点検診断系グループ
荒武 淳 (グループリーダ)
櫻田 洋介(主任研究員)
内堀 大輔(研究主任)
濱野 勇臣(研究員)
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