ネットワークオペレーション技術

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災害に対する強靭さを高め、より柔軟なサービス提供を可能とするアクセスネットワークを実現するため、アクセスネットワークの設備管理・自律運用や故障箇所推定及びサービス影響把握等に関する研究開発に取り組んでいます。

(1)ネットワーク種別に依存しない統一管理モデルを用いたサービス影響把握技術

近年、地震や台風等に起因した大規模な災害による通信ビルやケーブルの損傷により通信サービスの提供に支障をきたす事例が増えています。しかし、通信事業者のネットワークは、さまざまな通信技術を組み合わせて全国エリアのサービスをカバーしており、あるエリアの設備損傷が他のエリアのサービスや他の種別のサービスに影響を与える場合が多い。また、通信サービスの種別毎によりネットワーク構成が異なることや,各々のネットワークを管理するオペレーションシステム(OpS:Operation System)も異なる場合が多いため、被災により生じるすべてのサービス影響を迅速に把握することが困難です。
そのような状況において、被災設備によって生じるサービス影響を迅速に把握し、膨大な被災設備の中から優先的に復旧すべき設備の判断を支援する技術が求められています。この問題を解決するため、NTTアクセスサービスシステム研究所では、ネットワーク種別に依存しない統一管理モデル(NOIM:Network Operation Injected Model)を用いて、多数の通信技術を組み合わせた複雑な通信事業者のネットワークにおいて、通信設備障害により発生するサービス影響を迅速に把握する統一管理モデルを用いたサービス影響把握技術を2020年に開発しました。
また、本技術を活用し、災害発生時に大規模な設備故障が発生したときに、どの設備を優先するかを導出する汎用データモデル(NOIM)による災害時の復旧優先度算出技術を2023年に成果提供しました。

(2)ネットワーク障害対応を自動化するルール学習型障害箇所推定・対処支援技術

大規模ネットワークにおける障害対応では、スキルを有する保守者が、ネットワーク装置やサーバから挙がる大量のアラームを分析し、導通試験等により障害箇所や原因の切り分け作業を行い、復旧方法を特定する必要があります。これらの作業には、数時間~数日を要することもあります。アクセスサービスシステム研究所では、この分析・切り分け作業を短縮し、障害復旧の迅速化による保守業務の負担軽減(OPEX削減)を目指した研究開発に取り組み、これまで保守者のスキルとノウハウに頼って手作業で実施していた障害箇所の切り分け、要因特定、復旧方法の特定を自動化する技術としてルール学習型障害箇所推定・対処支援技術を2020年に開発しました。

(3) クラウドサーバリソース最適制御技術

サービスの取り巻く環境が変化し、ユーザ体感品質要件を満足するためにリソース設計が重要となります。サービスの多様化およびリソース制御の複雑化によって、従来のサービス技術者の経験頼りもしくはシステムパフォーマンスベースでのリソース設計・制御には次のような課題が存在します。
 ・リソース設計にはサービス技術者の経験・高スキルが必要
 ・ユーザ品質要件・利用状況に則したサービス提供が困難
 ・余剰リソースの割当
アクセスサービスシステム研究所では、ユーザ体感品質要件を「Intent(意図)」として取り扱い、Intentを満たす最適なクラウドリソースをプロアクティブに自動算出するクラウドサーバリソース最適制御技術の研究開発に取り組んできました。
標準化団体ETSI ENI ISG で、「クラウドサーバリソース最適制御技術の標準化及びPoC実現」を進めてきました。また、クラウドサーバリソース最適制御技術をWeb会議サービスや仮想デスクトップサービス等に適用し、2022年に成果提供しました。

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