電柱個別の豪雨による土砂災害に対する被災予測技術
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豪雨が発生した際には、土砂災害や盛土崩壊に伴い電柱が被災する場合があります。災害時でも通信を維持する必要がある一方で今後豪雨は激甚化することが見込まれており、図1のように電柱の被災を災害発生前に推定した上で減災や早期復旧のための準備を行う、プロアクティブな対応が重要となります。
図1 プロアクティブな対応のイメージ
今回、豪雨災害時の電柱被災を個別に予測する技術を確立しました。本技術は図2のように過去の豪雨災害における設備の被災データと標高等の公開データを組み合わせたデータベースを機械学習で学習することで、被災しやすい電柱のパターンを検出する予測モデルを構築し各電柱の被災を推定する技術です。
図2 技術の概要
予測においてはこれまでの電柱の被災状況を分析した結果、その多くが土砂災害に伴う倒木や盛土崩壊に伴う地盤支持力喪失によって被災していることを把握し、これらの現象に影響すると考えられる説明特徴量を選定しデータベースを構築しました。その結果河川や森林までの距離、10mメッシュでの地形といった詳細な地形情報と1kmメッシュの標高といった広い範囲での地形情報を組み合わせることが有効である可能性が高いことがわかりました。こうした手法により、被災リスクを高精度に評価可能な技術です。2020年7月の豪雨災害における熊本県南部の被災データの8割を学習し、同エリア内でテスト用に分割した2割に対して予測を実施したところ、精度は98%となりました。想定雨量を用いた事前対策の計画立案や資材の準備、気象予報で得られる雨量情報を用いたリアルタイムな予測に基づく補修等の計画立案への活用を想定しております。また、本技術は電柱被災のデータをさらに多く学習させることで性能向上も期待できるものであるため、さらなるデータの学習、分析を通じ高精度な技術をめざしていきます。